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学部授業

2014年度

コミュニケーション社会学(Communication Sociology)
辻 大介 准教授


【講義題目】 メディア文化と関係性の変容


【授業の目的】
戦後から現在にいたる日本社会の変化を縦軸としながら、
(1)メディアによって媒介されるコミュニケーション、関係性・共同性、そして「リアリティ」が、そこにどう相関してきたか、
(2)それをどのような理論や概念によって分析することができるか、
について理解を深めることを目的とする。


【講義内容】
この講義では、現在の社会状況を分析・考察するために、過去の歴史をふり返る。歴史とは、すでに終わってしまった出来事の集積ではなく、現在につながり、現在を規定している要因である。およそ過去の歴史とは無関連に新しく生じたように見える現在の現象であっても、歴史的な文脈に位置づけることによって、新たな見方・認識利得が得られることが往々にしてある。
さしあたってふり返るのは第二次世界大戦後からの日本の現代史であり、1990年までは、社会学者の見田宗介が提示した感受概念である「理想」の時代、「夢」の時代、「虚構」の時代という区分を便宜的に用いる。これらは「現実」の対義語という性格をもつが、いずれの時代も「現実」から「理想」へ、「夢」へ、あるいは「虚構」へという、今ここにある「現実」を脱しようとする遠心的なベクトルをもっていた。しかし、1990年以降はむしろ「現実」へと向かい、「現実(リアリティ)」を希求するような社会的・文化的な動きが生じている。
このような変化のもとで、現在の私たちのコミュニケーション、関係性・共同性、「リアリティ」は、どのように関連し合い、またどのような問題を生じているのかを考えていく。


【授業計画】 おおよそ次の流れで講義を進める。
(※それぞれが授業一回に対応しているわけではない。また変更もありうる)

(01) 「理想」の時代、「夢」の時代、「虚構」の時代
(02) 高度経済成長という転換点
(03) テレビとテレビCMの描き出した「夢」〜 昭和30年代
(04) 学生運動の空転・暗転と「若者」の分節 〜 昭和40年代
(05) 高度消費社会の到来 〜 昭和50年代
(06) 冷めた笑いから醒めた感動へ 〜 バラエティ番組の変容
(07) 日本的なリアリティテレビの隆盛 〜 1990年代
(08) 「虚構」の時代の果て 〜 オウム真理教事件
(09) 平成の「昭和ノスタルジー」〜 2000年代
(10) テーマパーク化する都市とオタク聖地巡礼
(11) ネット時代のリアリティ 〜『電車男』とケータイ小説
(12) 過視化されるネット世論と「右傾化」現象
(13) 絶え間なきつながりの時代 〜 ケータイ、スマホ、SNS
(14) つながりの格差社会 〜 デジタルデバイドと社会関係資本
(15) まとめ

受講生の人数などにもよるが、質問・コメントはシートに書いて提出してもらい(出席調査を兼ねて何度かおこなう)、次の授業の最初でそのいくつかを取りあげて、できるだけリプライしていくようにしたい。


【学習方法】
この講義では映像資料を多用する予定だが、授業中に見せることのできる時間はどうしても限られている。次の映画作品くらいは(DVDをレンタルするなどして)予めできるだけ見ておいてもらいたい。
山崎貴監督『ALWAYS 三丁目の夕日』(吉岡秀隆ほか出演)
原恵一監督『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』
ピーター・ウィアー監督『トゥルーマン・ショー』(ジム・キャリーほか出演)


【教科書】
用いない。適宜プリント等を配布する。


【参考文献】
見田宗介『現代日本の感覚と思想』(講談社学術文庫、1995年)
その他、授業の進行に応じて、適宜紹介する。


【成績評価】
平常点(出席、小課題の提出など)を約20%、試験(もしくはレポート)を約80%として、総合評価する。
評価方式と配分は、受講生の人数等により、変更・調整することがある。
なお、就職活動等で欠席せざるをえない場合は、予め辻へ連絡すること。事前連絡があった場合に限り、小レポートの提出などによって、欠席日の平常点に代える措置をとる。


【受講生へのメッセージ】
今の時代、自分の好きな情報やコンテンツ“だけ”に接触するのが容易な情報環境になっていますが、あえて自分の肌に合わない情報にも接するように(時々でかまいませんから)してみてください。






ジェンダー論(Gender Theory)
牟田 和恵 教授


【講義題目】 ジェンダー論再入門:男女平等じゃまだ足りない


【授業の目的】
これまで目指されてきた「男女平等」の誤謬を明らかにし、いま一度、ケアの倫理に根ざしたジェンダー的正義の観点からジェンダー論を学び直す


【講義内容】
1)「ジェンダー」の意味を再考し、ケアの倫理の観点から、求められるべきジェンダー平等について論ずる。
2)ジェンダー平等のための多様な制度的試みについて概説し、日本の制度がジェンダー的正義を穿つものになっていることを論ずる。
3)単なるワークライフバランス論にとどまらない、子育てやケアを可能にする「家族」の可能性について論ずる。
4)性暴力問題に焦点を当てながら、セクシュアリティの自由について論ずる。
5)女性の脆弱性を自明にしてきたこれまでの法や社会制度を再考し、フィジカルフェミニズムの可能性について論ずる。


【授業計画】
第1週〜3週 ケアとジェンダー
第4週〜6週 ジェンダー平等を促進する制度、穿つ制度
第7週〜9週 ジェンダー的正義と家族
第10週〜12週 セクシュアリティと性暴力
第13週〜15週 フィジカル・フェミニズムのすすめ


【学習方法】
講義を主体とするが、受講の準備を求める(事前に資料を指定する)。2−3回の小課題を課す予定。


【教科書】


【参考文献】
授業時に紹介する。


【成績評価】
小課題(50%)と最終レポート(50%)による。



Ver.2014